
国立新美術館で開催されている「ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ」を見てきました。
20世紀を代表する芸術家、パブロ・ピカソの作品を、イギリスのファッションデザイナー、ポール・スミスの視点で再構成した展覧会です。
ピカソの初期から晩年までの作品を、時系列に沿って紹介しながら、会場のレイアウトや色使いにもポール・スミスらしい遊び心が取り入れられています。
ピカソを「ファッションの視点」で見る

今回の展示で面白かったのは、ピカソの作品そのものだけではありません。
会場を歩いていると、ピカソとファッションの距離が意外と近いことに気づきます。
実際にピカソは雑誌『ヴォーグ』の誌面に手を加えたり、ストライプ柄を作品に取り入れたり、晩年には自身のイメージとしてボーダーシャツを着た姿が広く知られるようになりました。
特に印象に残ったのが、ピカソの「ボーダーシャツ」。

今ではピカソを象徴するスタイルのひとつとして知られていますが、アートだけではなく、本人の服装や写真まで含めてひとつのイメージが形成されていることが興味深いです。
「組み合わせる」ことで生まれる表現

ピカソの作品を見ていると、既にあるものを別の視点から捉え直すことの面白さを感じます。
代表的なのが《牡牛の頭部》。
自転車のサドルとハンドルを組み合わせ、牛の頭部に見立てた作品です。
一見するとまったく別のものでも、視点を変えて組み合わせることで、新しい意味を持つ。
これはポール・スミスのデザインにも通じる部分があるように感じました。

伝統的な仕立てをベースにしながら、色や柄、遊び心を加えていく。
「ゼロから何かを生み出す」というより、既にあるものを組み合わせ、少し視点を変えることで新しい表現にする。
今回の展示では、そんな共通点も感じられます。
遊び心は、時代を超える

ピカソは、絵画だけではなく、コラージュやアッサンブラージュ、陶芸など、さまざまな表現に挑戦しました。
ひとつのスタイルに留まらず、素材や方法を変えながら表現を広げていく。
その自由さこそ、長い年月が経った今でもピカソが新鮮に見える理由なのかもしれません。
そして、そのピカソをポール・スミスが自身の感性で再構成する。
アートを見るだけではなく、「ひとつの表現を、別のクリエイターの視点から見る」ことができるのが、この展覧会の面白さだと思います。
EDITOR’S NOTE

今回の展示で改めて感じたのは、ファッションとアートは思っている以上に近いということ。
色、形、柄、素材、組み合わせ。
ジャンルは違っていても、既にあるものをどう捉え直し、どう組み合わせ、自分らしい表現にするかという部分には共通点があります。
ピカソの作品を楽しむだけでなく、ポール・スミスの視点を通して見ることで、いつもとは少し違った角度からアートに触れられる展覧会でした。
ファッションが好きな人にも、ぜひ見てほしい展示です。
