
アーティゾン美術館で開催されている「エットレ・ソットサス ― 魔法がはじまるとき、デザインは生まれる」を見てきました。
エットレ・ソットサスは、20世紀のイタリアデザインを代表するデザイナー・建築家。
家具やプロダクト、ガラス、セラミック、写真など、さまざまな分野で作品を残しています。
今回の展覧会では、初期から晩年まで100点を超える作品が展示され、ソットサスの長い創作活動を一度に見ることができます。
デザインなのに、どこか自由

会場に入ってまず感じたのは、家具やプロダクトなのに、どこか「作品」を見ているような感覚でした。
特に印象的だったのが、1981年にデザインされた「カールトン」。
本棚という機能を持ちながら、大胆な色と不規則な形が組み合わされ、一般的な家具のイメージから大きく離れています。
「使いやすいものを、より使いやすくする」。
そんな合理的なデザインとは少し違う。
むしろ、そこにあるだけで気分を変えてくれるようなデザインです。
「デザイン=機能」ではない

ソットサスは、デザインとは何かを生涯にわたって問い続けました。
東西の芸術や文学、社会や政治などから影響を受けながら、単に機能や効率を追求するのではなく、人間の喜びや感情に寄り添うデザインを考えていたそうです。
その考え方は、実際の作品を見るとより伝わってきます。
鮮やかな色。
大胆な形。
予想外の組み合わせ。
一見すると「これって必要?」と思うような装飾も、作品の魅力になっています。
ファッションにも通じる「遊び」

展示を見ながら、ファッションとの共通点も感じました。
服も、機能だけを考えれば必要最低限の形で成立します。
それでも僕たちは、色を選び、シルエットを変え、柄やアクセサリーを加える。
そこには「便利だから」だけでは説明できない、感覚的な部分があります。
ソットサスのデザインも同じで、機能の先にある「楽しい」「面白い」「気分が上がる」という感情まで含めてデザインしているように感じました。
EDITOR’S NOTE

ソットサスの作品を見ていると、デザインは必ずしも「正解に近づけていくこと」ではないのだと思わされます。
むしろ、少し外してみる。
色を変えてみる。
形を崩してみる。
別のものを組み合わせてみる。
そうすることで、それまでになかった魅力が生まれる。
ファッションでも、既存のルールから少し外したスタイリングが、かえってその人らしく見えることがあります。
ソットサスが残したデザインには、そんな「遊び」の面白さがありました。
デザインを専門的に知らなくても、見ているだけで楽しくなる。
そして、普段何気なく使っている家具やモノについて、「なぜこういう形なんだろう」と考えるきっかけをくれる。
そんな展覧会でした。
